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ワイン・パリスの審判

Photo今日取り上げるのは、ワインそのものではなく本です。今年2007年の5月に出版された日経BP社の「パリスの審判」です。
この本は一言で言うと、アメリカ独立200周年を記念して企画されたフランス・ワインとカルフォルニア・ワインを比較する試飲会(ブラインド・テスト;銘柄を伏せて採点を行う方法で実施)が1976年5月24日パリで行われ、その様子をレポートしたものです。今から30年以上も前の話で、このブラインド・テストの結果はワイン通の人たちのなかではよく知られた事実のようですが、私には初めてでとても興味深く読むことが出来ました。

この本の面白さは、単にブラインド・テストの結果を紹介しただけではなく、フランスのワインが世界の頂点を極めた歴史を振り返り、一方アメリカでカルフォルニアを中心にワイン作りの夢を求めて血のにじむ様な努力と挑戦をした人々を紹介していることです。
そしてフランスでワインショップを経営する若いイギリス人が、自分の店の宣伝のためアメリカ独立200周年企画としてフランスとカルフォルニアのワインの比較試飲会を企画したのです。もちろんこのイギリス人経営者は店のPRをしてワインを沢山買ってもらおうと企画したので、当然フランス・ワインが1番となる(すなわちフランスが勝つ)と考えてました。
ワインは白(シャルドネ)と赤(カベルネソービニオン)からそれぞれ選ばれ、審査員(全てフランス人)がブラインドで採点を行った結果、意外や意外!どちらもカルフォルニア・ワインが1位となったのです。

さてこの時白ワインで1位となったのは、「シャトー・モンテレーナ1973年」でした。このシャトーの醸造技師はマイク・ガーギッチでした。彼は1923年、ヨーロッパのクロアチアの辺鄙な村で生まれ、家のワイン作りを手伝って成長しました。そして31歳のときにアメリカへ渡る決意をし、苦労の末カルフォルニアのワイナリーに職を得ました。
1958年、35才になった彼がカリフォルニア州ナパ・バレーの中心地に着いた時、彼の全財産は段ボール製スーツケース2個しか無かったそうです。それから自分のワイナリーを持つことを夢見て働き続け、約20年後パリのコンテストで1位になったことが彼の人生の転機となりました。コンテストの翌年1977年、彼は共同経営者を得て念願のワイナリーを所有し、自分のワインをつることになりました。まさに「アメリカン・ドリーム」を実現したのです。
その後1980年秋、シカゴで「シャルドネ」に限って行われたワイン・コンテストで、彼がつくった「ガーギッチ・ヒルズ・ソノマ・シャルドネ1977年」が最高の栄誉に輝きました。

この本で著者は、ワインは土壌、気候などの自然条件とワインを造るための技術革新・導入、そして何よりもワインを造る情熱があれば、フランスに限らず良質なワインが造れることをパリの試飲会が証明し、その後ワインの国際化が進むその契機となったと主張しています。
この本はワインの現状を知るのに最適なものと言えます。ワインに興味のある方はもちろんのこと、興味のない人もワイン作りに情熱を傾けた人たちのノンフィクションとして読むのも楽しいと思います。

[メモ] パリスの審判(カリフォルニア・ワイン vs フランス・ワイン)
    著者 ジョージ・M・テイバー
    日経BP社、 2400円

追記:
著者のテイバー氏は、パリ試飲会の会場で取材をした唯一のジャーナリストです。
タイム誌の特派員だったテイバー氏は当日たまたまパリにいて、「会場に行けば試飲のワインを飲むことが出来るかもしれないし、退屈しのぎにはなるだろう」と考えて取材したそうです。他のメディアは、試飲会の案内状をもらったものの興味を示さず無視したので、テイバー氏の思いつき(?)がなければ、この歴史的な結果は世に知られなかったかもしれません。

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